『最高の花婿アンコール』
本国フランスで5人に1人が観たという記録的大ヒットを飛ばした前作「最高の花婿」から6年。
本国では2018年に公開された「最高の花婿アンコール」は日本にもあのヴェルヌイユ家の面々が帰ってきたことを楽しすぎるうれしすぎる感動とともに教えてくれます。
私は前作から彼らを楽しんでおりますが、実はこの続編から初めて見てもきっと楽しめる作品になっていて、前作よりもパワーアップしたエンターテインメントになっていることをまずはお約束しましょう。
では前作で描かれていた彼らがどういう一家なのかからご紹介していきましょう。
フランスのパリ・・ではなく、郊外の緑豊かなロワール地方を舞台に、敬虔なカトリック教徒であり、保守的なフランス人夫婦ヴェルヌイユ夫妻の4人の娘たちが多国籍な花婿と結婚したというのが前作のお話。
長女からアルジェリア、アラブ系、イスラエル、ユダヤ系、中国、アジア系、コートジボワール、アフリカ系と全く違う文化や宗教をルーツに持つフランス人と結婚したのでした。
様々な衝突を乗り越え、娘たち夫婦はそれぞれ仲もよくかわいい孫も誕生し、クロードとマリーのおじいちゃんおばあちゃんは幸せだったのだが・・・。というところからこの続編は始まります。
ではここから簡単な今作のあらすじを。
クロードとマリーのヴェルヌイユ夫妻はいやいやながら4人の婿の実家に次々に訪れ、コートジボワール、アルジェリア、中国、イスラエルと旅して帰ってきました。
そもそも人はいいが保守的な二人らしく、異文化が肌に合わずフランスに帰ってきてやはりフランスが最高だとホッとするのでした。
一方4人の婿たちはパリでの生活に悩みを抱えている真っただ中。
長女の夫で弁護士のラシッドはアラブ人というだけでテロリストと疑われるだけでなく、ブルカを着けるなと言われた女性の弁護を1件引き受けたら次から次とアラブ系女性が押し寄せ、それ専門はいやだと悲鳴をあげている。
歯医者をしている次女の夫は実業家でハラル食品を扱う会社を立ち上げようとしているがうまくいきそうにもない。
画家の三女の夫は銀行家のしっかり者だが移民が増えたパリでアジア系が襲われる犯罪が多発しおびえる毎日。
四女の夫は売れない俳優だがオーディションを受けても受けても黒人の役はドラッグディーラーなど端役ばかり。
折しもクロードが定年を迎えたこともあり、帰国したヴェルヌイユ夫妻を囲む食事会に集まってきた娘一家たちだが、クロードはまたもやついつい差別的発言を連発。
婿たちの不評を買ってしまうのだった・・。しかしかわいい孫たちに囲まれ楽しんでいた夫妻に次女の夫ダヴィドがイスラエルに移住すると爆弾発言したからさあ大変。
何と彼らだけでなく長女夫妻はアルジェリア、三女一家は中国、そして四女夫妻は四女の転勤先のインドへと移住を宣言してしまうのだった。
何とか引き止めたい夫妻だが、娘たちも移住に乗り気で聞く耳を持たない。
孫に会えるのが何よりの楽しみだったマリーは精神的に追いつめられてしまうのだった。何とか彼らを引き留めたい夫妻は・・・。
見どころなんですが、監督、脚本のフィリップ・ドゥ・ショーブロンの脚本力がさえわたっているところ。ずばりこれ。最高。
多国籍、多人種国家のフランスだからと笑うなかれ。
日本の在留外国人は昨年過去最高を更新。
2018年の1年で外国人住民を受け入れた人数は、フランスは25万人以下だが日本は47万にを超え、なんと世界4位にランクインしているのだ。
つまり、日本でも起こりうる身近な話題でもあるということ。それを差別的な会話などもすれすれなところを描き込みながら、声を出して大笑いしてしまうようなコメディに作り上げた手腕がもうすごいのです。
それぞれ人種も宗教も違う今作の婿たち同士も、仲はいいけれど、文化的には相
いれないところがたっぷりある。それぞれが抱える事情もまた違う。
みんな欠点があるし、それを許してるのに人の欠点は許せなかったり。
そして今作のスーパーご機嫌キャラもいいんです。
まず前作から大活躍のコートジボワールのアフリカ系夫妻は妹の結婚で大波乱。
さらにタリバンから逃げてきたアラブ人や教会の牧師さまも最高に切れてます。
ヴェルヌイユ夫妻も夫は相変わらずなのに妻のマリーは今やTwitterに夢中。スマホが
手放せない日々。
人種や宗教だけでなく、テクノロジーの進化を受け入れる受け入れないというのもまたカルチャーギャップなんですよね。
今作でも人種と人柄って一文字違うだけで全くちがう。
人種でなく人柄でお付き合いできるって最高だと思わせてくれます。
前作より何倍も面白くパワーアップした続編、観ないと損しますよ!